同窓生紹介 ドン・ボスコの教え子たち

株式会社アルファクト

吉田 博史さん

よしだひろし 1956年生まれ。大阪の城星学園幼稚園・小学校、大阪星光学院中学校・高等学校で学ぶ。1997年、電子部品の受託生産を行う株式会社アルファクトを設立、代表取締役。大阪星光学院の同窓会長も務める。学生時代はグラウンドホッケーの主将を務め、近年の趣味はゴルフ。

サレジオ歴

城星学園幼稚園・小学校
大阪星光学院中学校・高等学校

リーダーとは、正しい判断をし、
速やかに行動できる人のこと

「ドン・ボスコの風」No.10 2013年1月より転載。 記事内容は取材当時のものです。

大阪星光学院に入学したきっかけは?

大阪星光学院(以下、星光)に入学する前は、扶助者聖母会(サレジアン・シスターズ)の城星学園に、幼稚園・小学校と通っておりました。その城星から、同じカトリック系の星光学院へ進学したのは、母が宗教による教育にも相応に期待したことと、当時の大阪の公立では、校区を跨ぐ越境入学が社会問題となりつつあったこと、それと、その校舎のいずれもが自宅から比較的近くにあったことだと思います。

当時の校長は都成神父さまでしたが、多くの時間を生徒と共に過ごされていた印象があります。放課後の部活の時間には、グラウンド脇の階段の上に立ち、後ろ手を組みながら、優しい眼差しでクラブ活動をしている生徒たちを見ておられる姿が今でも目に焼きついています。それと学年を担当された先生方との思い出です。特に中学生になったばかりの多感な時期に、どんな先生と出会うかというのは本当に大事だと思います。今も当時の先生方とはよくお会いしますが、一人ひとりの生徒と真剣に接してくれた先生方と共に過ごせたというのは、いつまでも本当に有難いことです。

現在の仕事を教えてください。

元は母が経営する繊維関係の会社にいましたが、結婚し長男が誕生する頃には、いつかはリーダーとして会社を立ち上げなくてはという強い思いがありました。1993年に独立した後、幾つかのジャンルの仕事をしておりますが、今の会社は、主に電子部品の受託生産を行っております。これをEMSといいますが、皆さんがお持ちになっているスマートフォンやパソコン、デジタルカメラやゲーム機、それから自動車や医療機器に使用される部品で、金属や樹脂やゴムの材料をベースに、プレス、成形、そしてメッキや塗装等、さまざまな工程で完成する部品を、企画・設計の初期の段階からメーカーさんと打ち合わせながら、その試作品や量産品の製作を国内や海外の委託先で製造しています。

仕事や日常で大切にしていることは?

何よりも会話です。黙ったままでも分かり合えるという以心伝心が目標ですが、なかなか難しいので、やはり会話することが最も大事だと思います。最近では、「地元」や「祭り」というような実際の人間社会、いわば近所付き合いというような、人と人との繋がりを知る機会が次第に薄れつつあるように感じています。それとあまりにも情報が多すぎて、何を信じ、どう選べばいいのかが更に難しくなっていると思います。その不信、不安な時代を象徴するように、今、人から笑顔がなくなってきています。でも、たった一言の褒め言葉をもらうことや、信頼する人と会話するだけでも、人は元気になれます。そして、その一人の元気が、また次の人を元気にできると思っています。

星光の同窓会会長を務めていますね。

星光学院の同窓会では、ここ数年「集う」ことを大きなテーマにしています。大阪ではもちろんですが、すでに東京や海外にも支部があります。1期から昨年卒業したばかりの57期までが在籍していますが、あと数年で1万2千人にもなります。そのうち、1600人近くが医師、あるいは医学部の学生になっているように、今、星光は関西だけでなく、日本でも有数の進学校になっています。それは確かに素晴らしいことですが、他方、試験の点数さえ取れば良いとなりつつある、社会や家庭の風潮が少し気懸かりです。

星光の同窓会には、医師の会や、都市環境部会、若手経営者の会等の部会があります。それそれが、総会やゴルフ、忘年会や懇親会等々に、活発に笑顔で集っています。私も同期の仲間たちと年に数回会いますが、さすがに年を重ねるごとに、相応に外見は変わってきたな、と互いに思ってはいます。しかし人としての本質は全く星光生当時のままで、誰も何にも変わっていません。いくら社会的には立派な職業にいようとも、多くの収入があろうとも全く関係なく、同期は、いつまでも同期です。その屈託のない集いも至福の時間です。

後輩たち、若者たちへのメッセージを。

人それぞれに必ず好きなことと、良いところがあると思います。勉強やスポーツ、音楽や料理、話すことや聞くこと、他にもいろいろあります。生まれもった才能もあれば、時に人に憧れて気づくこともあります。それを一生懸命にやれば、もっと自分がやりたいことが見えてくるはずです。

そして、本当に自分の好きなことを、好きなところで、好きな人とやり続けるのが理想です。早くから自分の10年20年先の目標を決めることは、ある程度は必要だとは思いますが、やはり自分の目の前に在ることを大事にすることです。いずれ大人になっていく過程で、平凡な日常がいかに大切で、有難いことかが判ってくると思います。

後輩の星光生たちによく言うのは、「君たちは、あと数年で社会のリーダーになります。そのリーダーに、最も必要なことは、いつも正しい判断をすること、そして、速やかに行動することが重要」と伝えています。リーダーとは、自分で正しい判断をし、そして行動できる人のことです。もし社会のリーダーになった人が「自分は大衆、民衆から抜け出した」と思うのであれば、リーダーたる資格はないと思います。星光生らしく「世の光」として先ずは自身が輝きながら、世のため、人のために社会に光を与え続けてほしいですね。