同窓生紹介 ドン・ボスコの教え子たち

サロンの受付カウンター前にて。後方の写真は創業者メイ牛山とグレース・ケリー。

株式会社ハリウッドビューティサロン 代表取締役社長

牛山 大さん

うしやまだい 1970年生まれ。日本最初の美容室、ハリウッドビューティサロン代表。NPOコペルニク理事。映画国際交流「212組」主宰。目黒星美学園小学校、サレジオ学院と進学。東海大学海洋学部で気候変動を研究。その後NYでグラフィックデザイナーとして10年、ミュージアムや国連の広報デザインを担当する。美容家メイ牛山をはじめ、朝吹真理子や藤原正彦など家族に教育者も多数。
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サレジオ歴

目黒星美学園小学校、サレジオ学院中学校・高等学校(旧川崎サレジオ中学校・サレジオ高等学校)同窓生

一番大事なのは教育です。

「ドン・ボスコの風」No.7 2011年7月より転載。 記事内容は取材当時のものです。

現在の仕事を教えてください。

現在、私が代表を務めていますハリウッドビューティサロンは日本で最初の美容室です。祖父母が大正時代に創業し、パーマやマスカラ、メイク、などを日本全国に広めました。ヘア、エステ、メイク、着付け、婚礼、化粧品や健康食品などの販売まで行う総合美容サロンで、皇室関係から総理夫人、女優さんらを代々担当しています。サザエさんの第一巻にも載っていますよ。「美容は肌だけでなく、心も体の中も総合的に美しくなって、本物の美しさが生まれる」という祖母のメイ牛山の哲学が軸になっています。3年前に祖母が97歳で亡くなったこともあって、現在は私が社長を務めています。

子どもの頃から将来的に家業を継ぐつもりだったのですか?

それはまったくなかったですね。親には好きなことをしていいって言われていましたから。日本では気候変動の勉強、その後、ボストンとニューヨークではグラフィックデザイナーとして10年働いていました。実際、ニューヨークのミュージアムに働いており、アートディレクターズクラブ賞など頂いて仕事もあったので、永住するつもりでした。しかし9・11テロが完全に転換点になりましたね。多くの知り合いが犠牲になりましたし、地元は治安維持のために軍隊が占拠していました。もちろんニューヨークの人たちは全員賛成してないにせよ、いかにも打倒イラクだという戦争ムードには自分では納得がいかず、ニューヨークでの生活に疑問もできました。アメリカとしては、やられたら徹底してやり返そうという動きでした。戦争というものを直に体験して価値観がいろいろ変わりましたね。

ちょうどその頃、六本木ヒルズプロジェクトが動きだしていました。テレビ朝日と森ビルと私たちのハリウッドグループと3社合同でのプロジェクトです。森ビルもテレビ朝日にも人材はたくさんいる。ところが、うちは偶然そこに自宅と会社があっただけで、インターナショナルな人材が少ない。ある意味、時の流れで巨大プロジェクトに参加せざるを得なかったんです。高層ビルができてミュージアムを造って、前に彫刻を置いて、とアート文化の発信の街に変わっていかなければならない。というわけで、ちょっとデザインで手伝ってくれということで始め、気がついたら実家の仕事に引き込まれていきましたね。(笑)

サレジオで学んで今活きていることはありますか?

目黒星美小やサレジオ学院で学んで得したということは二つあります。一つはボランティア精神。バザーや街頭募金などで、すごく養われていたと思います。宗教観とは関係なしに博愛精神を体感したことです。小さい子どもが見ず知らずの社会と接する貴重なチャンスでもあり、一人の大人として自覚できる作業ともいえますね。普通の小学生だと自分の家族、自分のクラス、自分の学校、自分のコミュニティー、自分の親戚が限界なんだけれども、ボランティアなどを通して、そういう経験値が知らずに大人への教育になっていくんです。もちろん、こういった経験から社会に出てボランティアがあっても、すんなり参加しやすい精神的に土壌もつくってくれました。

もう一つは、旧約から新約まで聖書の話を一通り教わったこと。基本的に近代の日本の建築や美術には必ず西洋の哲学やキリスト教の影響が必ずあります。洋服だって、建築だって、ピアノや絵画の構成要素でさえ、キリスト教がベースですから。実は影響を受けた物が多いですよね。それを理解し味わうために聖書を知っていたということはプラスでした。欧米に行って、むこうの文化を理解しやすく、交流もしやすい、そんな一面もありましたね。

仕事をする上で大切だと感じることは何でしょう?

一番大事なのは教育です。今回の災害でも感じましたが、危機的状況であっても、冷静にきちんとした判断ができるのは、その人が小さいときに学んできた環境だと思います。学歴とかでなく、きちんとした人は慌てないですよ。今のような時だからこそ、教育の真価が問われます。きちんとした教育で培われた倫理観や哲学が、物事を冷静に判断させてくれます。今、社会ではシステムとかルール、理論ばかり習いますが、社会で重要なのは、倫理観です。誠実に仕事ができるのが一番重要です。基本軸がない人は、危機的状況で足下から揺らいでしまいますよ。新入社員も徹底して教育します。私が学んできた事、私の友人などを教材に、勉強会を開催しています。また私自身も他の学校や会社にボランティアで語りに行っています。祖父母やまわりからもらったものを、また伝えて行きたい。そんな気持ちです。