高専の校是である「神は愛なり 技術は人なり 真理は道なり」に表されていると思うのですが、技術は人のために使って初めて技術であり、人を幸福にしなければならないものです。そしてエンジニアはそれを必ず心に留めていないといけないと思います。そういった考え方や、「神は愛なり」とあるように互いを愛し、人を大切にすることを校是として掲げている工業学校はとても珍しいと思います。神という絶対的な存在があって、そこに技術があるという考えは、ものの見方としてとても貴重です。卒業して社会に出て初めて気づくことができました。
また入社してから一人では何もできないことがよくわかりました。まさに「技術は人なり」です。どんなにすごい技術であっても人と折衝できなければ、それはやはり「技術」ではないと思います。たった一人の人も納得させられない技術は、他の人も説得できるわけはなく、それを世の中に出しても決してよい商品にならない。つまりエンジニアといえども人と対話することをおろそかにしてはならないということです。
また商品を開発するわけですから「人」=お客様について知らなければ何もできません。私は耕うん機を長く担当していますが、入社した時は耕うん機を使ったことがなかったので、ひたすらずっと使って、どう使われるかを勉強しました。農家に嫁にいけるんじゃないかと思うくらい使いましたね(笑)。除雪機でも同じように北海道と新潟に詰めて一日中ずっと除雪をしました。とても大変でしたが、お客様=相手の境遇をきちんと理解して商品に反映したいという思いで乗り切りました。そういう考えが自然に出てくるようになったのはサレジオ高専のおかげだと思います。
おそらく私以上に高専生活を楽しんだ学生はそうそういないと思います。柔道やソーラーカーレースで国内外に遠征もだいぶさせてもらいました。その経験の一粒ひとつぶが今の私のもとになっています。